四季折々の植物や果実を描いた作品約四十点が並ぶ。「見慣れているが、人間には作り出せない形が好き」とほほえんだ。
「配置により作品の印象は全く変わる」。趣味の美術館巡りを通じ、空間の重要性に気付いた。個展を開く際は、作品を描く前に会場の下見を欠かさない。その空間に合った作品を描くためだ。「作品の周りの壁面も必ず目に入る。会場の空間も作品の一部です」
作品ごとの彩色やモチーフの意図は心の奥にしまい込んでいる。「私の仕事は美しい空間を作ることで、意味は見た人がそれぞれ感じてくれればいい」。その言葉には、一つ一つの作品を個別に見るのではなく、会場全体の空間を一つの作品として見てほしいという思いが込められている。
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