絵画がインスタレーションとして完璧。椿の花をモチーフに、たった3点からなる構成だが、大小のキャンパスと造形をくりぬいたオブジェのような作品は、みごとな構成美を表現する。真っ赤な花弁に、黄色い花粉をあふれるほどたたえた椿。大キャンパスは、豊穣な喜びにあふれている。対照的に小さなキャンパスは、一輪の椿が紫の背景に可憐な姿をみせる。そこから抜けでたように、つぼみをもった椿が、オブジェのように壁面に接している。いずれも白亜地に油彩の古典技法で、表層的イメージが明るく軽快だ。
塩入敏治(現代美術コレクター) 2006年 gallery review 09300633 橋本トモコ展 −ツバキ赤く−