橋本トモコ

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平面であることの正統性を貫く新しさ
 

 橋本トモコはイチゴなどすぐにそれと了解できるモチーフを選ぶことによって、説明するという作業から自らを解放し、絵画を如何にして平面として成立させるかという、最も基本的で新しい問題に真正面から取り組んでいる。
  まず注目しなければならないのはその輪郭線の美しさで、彼女の描くモチーフは決して記号的ではない。
  そして次にマチエールだが、布に白亜地の地塗りを施し、最下層にバーントシェンナ、補色などを経て、透明度の低い色彩から高い色彩を重ねて行く。この丁寧な作業を通じて彼女は油絵具が本来持っている美しさと堅牢さを獲得する。彼女の作品は実にあっけらかんとして平面的である、だが実に深く絵画的問題と関わっている。

 
中村隆夫(美術評論家・多摩美術大学教授)
2005年 美術の窓4月号
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